試合実況で使われる「勢いのある攻撃」という表現。擬音にすると「ワー!」とか「ズドドドド!」などが当てはまりそうですが、トレーニングで「もっと勢いよく攻めよう!」と伝えても、選手にとってそれが「走るスピードを上げる」なのか「ダイレクトパスを入れる」のか捉え方は様々です。
チームとして攻撃にギアを入れる時、何にフォーカスするのかはコーチが決めることですが、そうは言っても「コレだ!」といきなり決定するのはなかなか難しいものです。そこで、いくつかの約束事を決めて、積極的にゴールを狙うトレーニングを取り入れてみましょう。オーガナイズをひとつずつ理解していくことで「勢い」を具体的なプレーに落とし込むベースが見えてくるはずです。
1 オーガナイズ

テーマ
-スピードを伴うフィニッシュ
キーファクター
-認知
-コミュニケーション
-体の向き
-パス
-運ぶドリブル
トレーニング難易度
-難
インテンシティー
-強
選手
-15人
アクティブタイム
15min
道具
-ボール
-マーカー
-大ゴール×2
2 トレーニング方法

- 5人グループを3つ作ります
- 各ゴールにはGKをつけます
- ひとつのグループはフリーマンとなり外に4人、中に1人配置します
- 一方のGKからスタートします
- OFグループ各選手は常に動かなければなりません
- パスは斜め前または縦パスを優先とします
- 後ろへのパスはできません
- 横(並行)パスは連続では使えません
- 止まっている選手は2人以上いる、後ろにパスを出す、横パスを連続して行った場合相手GKからのスタートとなります
- DFグループがボールを奪ったら役割を入れて素早くゴールを狙います
3 ポイントと解説

プレーするごとに奥行きがなくなることを理解する

このトレーニングは後ろにパスができず、横パスは1回のみなので、必然的にプレーの奥行がなくなります。OFの選手が常に動かなければならないルールはそのためで、積極的にスペースの形成とパスラインを作らなければ、DFにアプローチされてしまいます。
打開策として、両サイドとピッチ内にいるフリーマンを上手く使いましょう。両サイドにいる4人のフリーマンは、SBとWGの役割を担っています。また中のフリーマンは自由に動くことができますが、基本的にはピッチ中央を上下してサイドチェンジのパイプ役を果たしてもらいます。
トレーニングのヒントとして、ボールを持っている選手より前に直線的に走る以外に、落ちる動きを行うことで、狭くなりゆくピッチでもプレースペースを確保しやすくなります。
DFが来なければ裏にパスをだしてもOK
ルールにロングパスはダメと書かれていないので、ロングボールでの攻め方もありです。DFのアプローチが緩ければ、積極的に裏を取りに行きましょう。反対にアプローチが激しく前掛かりの時も、相手の最終ラインにスペースができるのでチャンスです。ここではビルドアップよりフィニッシュに近い形を作れるプレーを優先させましょう。

アプローチが緩ければロングを狙う

ハイプレスなら背後にスペースができやすい
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