シンプルだからこそ、とても重要
守備のグループ戦術の基礎である「チャレンジ&カバー」。
これが上手くいかないと一度に複数の選手が抜かれてしまい、いきなり数的不利な事態になってしまうことがあります。
ペップ・グラウディオラ監督がバイエルン・ミュンヘンで指揮した時に行ったチャレンジ&カバーのトレーニングは、とてもシンプルです。しかし、だからこそ頭で考えなくても無意識下で機能できるようになりたい内容でもあります。
動画=YouTube:Ejercicio de Pep Guardiola
①オーガナイズ
ボールが集まる場所にコーチが立ち、各選手と10mの距離をとります。選手が立つ3つの場所の間隔は5mほど。
真ん中の選手の場所は、実際は図より深い位置にあります。※最後のページの動画で確認ください。
スタンバイしている各選手はコーチに正対します。
②ルール
コーチから3人の内1人にパスが入ります。パスが来た選手はボールに素早く反応しアプローチします。
他の2人の選手はアプローチした選手をカバーリングするために移動します。
3人ともできる限りのスピードでアクションしなければなりません。
来たボールはリターンします。連続で複数回行った後、コーチの合図で前に走りラインを上げます。
③ポイント
カバーリングは必ず、斜め後ろにポジションを取る
このトレーニングでは走っているボールに対して、チャレンジとカバーリングの選手はできる限りのスピードでリアクションをしなければなりません。相手の自由を削るためです。
しかし、意識することはそれだけではありません。
チャレンジの選手に対して、残る2選手は斜め後ろのポジションでカバーリングを行う必要があります。
カバーリングはチャレンジした選手が抜かれた時やコントロールミスなどでボールが背後に流れた時に、対応するために行います。もしも、カバーリングの選手が同じ高さまで上がってしまった場合、チャレンジした選手の後ろにボールが流れたら、残る2選手の背後も取られてしまうことになります。
だからといって後ろに下がり過ぎもよくありません。なぜならチャレンジとカバーリングの間に余分なスペースができてしまうからです。
つまりこのトレーニングは、チャレンジとカバーリングを素早く行うことと、適切なポジションを習得するのが目的となっています。
リターン後は、素早くポジションを修正する
このトレーニングにはもう一つ大切なことがあります。
チャレンジした選手がボールを戻した後、3人は素早くマーカーまで戻らなくてはなりません。なぜならニュートラルなポジションから状況に応じてアクションすることで、チャレンジとカバーリングにメリハリが付くからです。
チャレンジ&カバーはボールが前進してこようとするサイドによって危険な場所が変わりますので、このポジション修正も大切なアクションとなってきます。
ウォーミングアップとしても!
動画ではバイエルン・ミュンヘンが試合前のウォーミングアップメニューとして行っています。
あまり複雑なことはせず、守備の基本であるチャレンジ&カバーをこのように行うことで、選手は落ち着いて試合に望むことができます。
◆関連記事◆
守備の意識を「守る」から「奪う」へ変えよう!早いうちに身に着ける奪う守備!
コメントを残す