バルサ流パストレーニングに必要なポジショニング能力を身につける
トレーニングの導入でパストレーニングを行うことがありますが、単なるパス&コントロールの動作だけをこなしてしまっては選手への刺激が低くなってしまいます。
パスやコントロールはあるプレーをするための手段であって目的ではありません。そのため「チームやグループで○○なプレーを再現するために、パスやコントロールを行う」という認識でオーガナイズをすると、内容の濃いトレーニングとなります。
紹介するトレーニングはFCバルセロナをはじめとする、スペインサッカーでよく行われるパストレーニングです。
動画=YouTube:FC Barcelona – Changing Positions in Possession
①オーガナイズ
広さは30m×20mほど。マーカーで台形を作りましょう。図のように選手を配置しスタート(A)の選手がボールを持ちます。
広さはカテゴリーやレベルによって調整しましょう。
②ルール
同時に動いていると複雑に見えますが、A・DとB、Cに分けると意外とシンプルです。
※以下は図の左から右に展開する動きを説明しています。
A・D
AとDは対象で同じ動きなので、ここではAの動きを例に説明します。
- AはBの手前にパス
- Bの落としからCに展開
反対側からボールが来たら
- CからのパスをBに落とす
- Cからボールを貰いはじめに戻ります
AもBも場所は変わりません
B
- BはAからのパスをAに落とす
- AからCのパスでCの落としをBはDにパス
- CのパスをBはDにパス
- Cの列にローテション
C
- AからのボールをBに落とす
- Dの落としをBにパス
- Bの列にローテション
③ポイント
- 選手の継続した動き
- タイミングとリズムを合わせたなかでの動き出しを行うための視野
- パスのタイミングと修正された角度
- ボールから顔を上げる
- ボールありなしでのプレーペース
- 正確なゴロ玉パス
- 両足でのパス
- 角度をつけた動きやパスによってパスコースを作る
- パサーの役割を定期的に変える
2つの三角形でショートとロングパスが折り混ざる
選手たちははじめ、トレーニングを回すことで精一杯な可能性がありますが、慣れてきたらこのパスワークにどのような特徴があるのか理解させていきましょう。
真ん中の選手がクロスしながらボールを貰うことで、自然と三角形ができることがわかると思います。これによって「当てる→はたく」のコンビネーションが生まれます。
また、他の三角形ができる場所へボールを移動させる時にロングパスがするので、ここでも自然に「ショート→ショート→ロング」「ショート→ロング」のリズムが生まれてきます。
ポゼッションで大切な「面」の形成と角度をつけたパス
ポゼッションをする上でやっかいなのがDFです。そのDFのプレスをいかにかわしながらパスを繋いでいくのかがポゼッションの肝になってきますが、選手に理解させるために、一度ボードなどで視覚的に説明すると効果的です。
簡単の仕方は簡単です。2つの図を描きます。1つは直線です。もうひとつは三角形。
直線では2人の選手が対面でパスをしていると考えてください。三角形は3人で行っています。ここで選手に質問します。
「DFが守りづらいのはどっち?」
この問に選手は「三角形」と即答するでしょう。では「なぜ三角形なのか?」を続けて聞いてみましょう。いくつか答えが出ると思いますが、もしも「人数が多いから」と答えた選手がいたら直線の絵に選手を書き足してこう言ってください。
「人数を同じにしたけど、直線も三角形も同じかな?」
選手はコーチに対して「そんなのあり!?」と思うかもしれません。ここでやっと本質の話に入ります。
ポゼッションで大切なのは選手の人数ではなくて、選手が作った「面」だということです。
このトレーニングだと、三角形の中にDFがいると考えて、その面の中で「どれだけDFのを翻弄できるか」がこのトレーニングの目的になります。
その目的を達成するために「三角形」「パスのリズム」「パスの距離」といったファクターが必要となってきます。
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