パストレーニングには様々なバリエーションがありますが、日本ではこれから紹介するような判断やコンビネーションの要素が連続的に盛り込まれているオーガナイズは少ないのではないでしょうか。
このパストレーニングの目的は基本的なパス&コントロールに加えて、「どこに顔を向けるのか」「見たものを把握」するといった、サッカーの試合で必要な要素が多く含まれています。
このパスサッカートレーニングは、基本的なパスや技術の習得、選手の気付きや視点を向上させることに重きを置いています。
このドリルはまた、頭(目線)の向きや素早い決断といった認知的な能力の発達をサポートします。
バリエーションは2つありますが、まずは共通のオーガナイズを見てみましょう。
基本はこの形です。10mほどのグリッドを作り、中央にポール(またはコーン)を置き、一角を抜いた三角と中央に選手が待機します。
ボールは外の選手2人が持ち、1人は持ちません。
バリエーション①
1つ目です。
複雑ですが
外の選手は時計回りに一辺ずつ進む
という共通点を理解すればそれほど難しくありません。
各パートの選手を見ていきましょう。
C
- Dにパスを出し、移動。
- Aからパスを貰い、それをリターンパス。
- すぐさまDからパスが来るので、Cにパス。
- Cからリターンパスが来るのでそれをDにパスして移動。
→Aのパートになります。
A
- Dからパスを貰い、Cにパス。
- リターンパスをDにパスして、移動。
→Bのパートになります。
B
- Cからのパスを貰い、それをリターンパス。
- Dからパスが来るので、Aにパス。
- AからのリターンパスをDにパスして、移動。
→Cに戻ります。
これで外の選手の動きを解説しました。
残る中の選手ですが、
D
- Cからのパスを180°ターンしてAにパス。
- BからのパスをCにパス。
- Aからのパスを180°ターンしてBにパス。
- CからのパスをBにパス。
上記1〜4をリピートします。
一旦、言葉で整理しましたので、動画(0:28〜)で実際のトレーニングを見てみましょう。
動画=YouTube:Soccer Passing Drills | Pass – Turn – Receive – Move 2
パス&コントロールをしっかりと行うことはもとより、各選手が他の3選手の動きを観察しながら、移動のスピードやパスのタイミングを調整することが重要です。
はじめは上手くいかないことがあると思いますが、指導者は一日で選手ができると思わず、何度もトライさせてみましょう。
次のページで他バリエーションを紹介します。
バリエーション②
2つ目です。
バリエーション①に落としのパスが加わっています。
C
- Dにパス、落としをAへパスして移動。
- 移動後Aからのパスをリターンパス。
- Bから斜めのパスをリターンパス。
- Bから再びパスを貰い、時間を作る。
- Dにパス、落としをAへパスして移動。
→Aのパートになります。
A
- Cから斜めのパスをリターンパス。
- Cから再びパスを貰い、Dへパス。
- Dからの落としをBにパス。
- 移動しながら再びBからのパスをリターンパス。
→Bのパートになります。
B
- Dにパス、落としをCへパス。
- 再びCからのパスをリターンパス。
- Aから斜めのパスをリターンパス。
→Cのパートになります。
D
- Cからのパスを落とす。
- Bからのパスを落とす。
- Aからのパスを落とす。
Dは来たボールをすべて落とします。この時に大切なのは、相手のスピードが落ちないコースに落とすことと、フリーになる動きを入れてから貰いに行くことです。
動画を見ると、Dの選手は常に実戦を想定した動きを入れながらボールを受けているのが伺えます。
落としを入れることで一つ動作が増えましたが、バリエーション①がしっかりと出来ていれば、上手く回り始めるでしょう。
バリエーション①と②に共通していえることは、すべて100%のスピードで行うことが正解ではないということ。
使用しているボールは2球ですが、選手はグループのプレーリズムを合わせるように、個々のプレーテンポを調整するよう促しましょう。
動画=YouTube:Soccer Passing Drills | Pass – Turn – Receive – Move 2
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