ビルドアップをチームでより機能させるには様々なトレーンングがありますが、これから紹介するものはその本質を捉えた内容となっています。
そもそもビルドアップってなに?
こう聞くと「ゲームの組み立て」と答える人が多いかと思います。では、組み立てるとはどういうことかとさらに突っ込むと:
- 「GKからDF、そしてMFにボールを渡すこと」
- 「前線以外の選手でボールを回すこと」
- 「ボールを前に運ぶこと」
といろいろあります。
それもそのはず。日本のサッカーではこのビルドアップが何なのか、何者なのか定義されていないのです。
しかし、そのまま放置してしまうとこれから紹介するトレーニングの意味がなくなってしまうので、ビルドアップを細分化しているスペインから知恵を借りてきます。
ボールの循環とボールの出口
最近ではスペインサッカーの情報が日本にたくさん入ってきているので、ピンと来た人もいると思います。
ビルドアップとはボールの循環とボールの出口という概念によってできています。
circulación de balón(シルクラシオン デ バロン=ボールの循環)とは、相手が形成したラインを突破するためにボールを動かす(循環する)ことです。
ここで言うラインとは選手同士を結んだラインのことです。

上の図の左でいうと、ラインは3つあります。そして突破というのはこれらのラインをボールが超えることを意味します。図ではゾーン1でボールを循環しながら相手FWラインの突破を狙います。上手く突破することでボールはゾーン2に前進することができました。
もちろんロングボールなどで飛ばしてラインを超えることもできます。
salida de balón(サリダ デ バロン=ボールの出口)は、ボールを突破して前進するための出口のことです。日本では「門」といいますね。

つまりビルドアップとは、ボールを循環しながらボールを前進させるための出口を探すことを意味します。
①オーガナイズ

かなり前置きが長くなりましたが、やっとトレーニングの紹介です。
オーガナイズ
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図のようにフリーマンがプレーするゾーンを端から3mほどとり作ります。
※図とアニメーションは分かりやすいように中のプレー人数を制限しています。
②ルール

ルールはボールを保持しながら端にいるフリーマンにボールを渡すこと。渡し終えたら反対のフリーマンを目指します。DFしているチームはボールを奪ったら攻守交代します。
そしてフリーマンは、プレーするゾーンから外に出ることができ、その状態では中の選手がフリーマンにパスを出すことができません。フリーマンが自分のゾーンに戻るまでボールを保持しなければなりません。
③ポイント
このトレーニングはフリーマンにボールを渡すことがルールなので、攻撃の進行方向ができます。それによってDFはラインを形成して守ることで効率よく守備ができます。攻撃側の選手はボールを循環しながらボールを前進させることになるのですが、突破のために必要な選手が必ずしも受け取れる状態とは限りません。
それを再現するためのルールとなっています。このトレーニングではボールを取られないことはもちろんですが、ボール保持のためと突破のための2つの見る作業をしなければいけないところがキーとなってきます。
指導者は:
- いつ見なければならないか
- いつ首を振らないといけないか
- 首を振らなくても視野が最大の角度で保てるポジションはどこか
といった問いかけをすることが大切です。
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