サッカー日本代表選手の体脂肪率が話題に
少し古い話題になりますが、2015年に当時のサッカー日本代表監督だったハリルホジッチ氏は、数名の代表候補選手の体脂肪率について苦言を呈しました。一般的に、サッカー選手の体脂肪率は12%前後が標準とされており、ハリルホジッチ元代表監督は体脂肪率12%を超える選手は代表に召集しない方針を打ち出しました。
#Halilhodzic unhappy with body fat % of #daihyo players including #Yoshida, #Usami + #Kawashima (via @aishiterutokyo) pic.twitter.com/KI8mI2mqvW
— Japan Football News ⚽️🎌 (@FootballNewsJPN) April 14, 2015
引用元:Twitter【FootballNewsJPN】
この件について賛否両論ありましたが、「数値が低ければ良いわけではない」というものや「簡易的な機器で測定した結果だ」という意見が多く、「なぜ体脂肪率を下げるべきなのか」についての言及が不十分だったと思います。そこで本記事では、サッカー選手が体脂肪率に気を配る理由を考察します。
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サッカー選手とオリンピック選手を比較すると…
体脂肪率に気を配るのは、サッカー選手だけではありません。スポーツによって異なりますが、サッカー同様に基準となる体脂肪率はあります。
出典:オリンピック日本代表選手の身体組成表 石田千尋様より引用
オリンピック選手の身体組成表を見ると、サッカーやバレーボールのように負荷が高いスポーツは基準体脂肪率が低めなのが分かります。日本人男性の体脂肪率の目安は10〜19%とされていますので、アスリートは目安の下限になるよう調整することが多いようです。
ちなみに、ハリルホジッチ元日本代表監督のリストによると、最も体脂肪率が低いのは本田圭佑選手の6.6%で、最も高いのは興梠慎三選手の16.4%でした。ほとんどの選手の体脂肪率は12%以下でしたので、やはり日本代表に選ばれる選手はしっかりと自己管理ができていることが分かります。
体脂肪率が高いと、何が問題なのか
では、なぜサッカー選手に限らずアスリートは体脂肪率を低くしようとするのでしょうか?答えは、体脂肪率を低くすることで、除脂肪体重を増加させることが目的だからです。除脂肪体重とは、その名の通り「体重から脂肪の重さを除いた重さ」になります。例えば、体重60kgで体脂肪率10%の男性の場合の除脂肪体重は、「60-6=54kg」となります。また、海外の研究によると、男性の除脂肪体重は「体重(kg)×0.3281+身長(cm)×0.33929-29.5336」という計算式で大まかに推定できるとのことです。身長170cmで体重60kgの男性の除脂肪体重は、「60×0.3281+170×0.33929-29.5336≒48kg」となります。体脂肪率が分からないという方は、この計算式を使うと良いでしょう。
除脂肪体重が多いことで、アスリートに何か良いことがあるのでしょうか?海外の研究では、「体脂肪率が高い選手は持久力が低くなる傾向がある」とし、別の論文では「体脂肪率が増加すると有酸素・無酸素運動に関わる能力が低下する」と報告しています。ただ先ほどの論文は、体重の増加はパワー系のトレーニングに好影響であることも報告しており、「体脂肪率を減らしながら筋力量で体重を増加させることで、持久力を失わずにパワーを増やすことになるため、パフォーマンスの向上につながる」と結論づけています。
サッカーは強さと敏捷性、90分間走る持久力も要求されるスポーツです。身長182cmの大迫勇也選手や本田圭佑選手が、機敏な動きとポストプレーのような強さを併せ持つのは、体脂肪率が低く筋肉量が多いことに理由がありそうです。
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海外のサッカー選手と比較してみたら…
体脂肪率が低い選手は筋肉で体重を増やしており、スピードとパワーのバランスが良い選手であることが分かりました。では、海外の選手と日本代表選手を比べてみましょう。
選手名 | 身長(cm) | 体重(kg) | 体脂肪率(%) | 除脂肪体重(kg) |
クリスティアーノ・ロナウド | 189 | 85 | 7 | 79 |
リオネル・メッシ | 170 | 72 | 7 | 67 |
ネイマール | 175 | 68 | 8 | 62 |
ティボ・クルトワ | 199 | 96 | 8 | 88 |
カリム・ベンゼマ | 187 | 79 | 9 | 72 |
ハメス・ロドリゲス | 180 | 75 | 10 | 67 |
本田圭佑 | 182 | 74 | 6 | 70 |
大迫勇也 | 182 | 71 | 7 | 66 |
長友佑都 | 170 | 68 | 5 | 65 |
図1:サッカー選手の身体組成表 編集部作成
図1を見ると、世界のトッププレイヤーは才能だけでなく、しっかりと自己管理をしていることが分かります。クリスティアーノ・ロナウド選手はストイックなトレーニング方法や食事で有名ですし、メッシ選手も以前は怪我が多かったのですが、食生活を改善したことで怪我が少なくなったことは有名です。ベンゼマ選手やロドリゲス選手はシーズンオフに体重過多を注意されたことがありますが、シーズンが始まる頃には闘う身体に仕上げていることが分かります。
日本代表の本田圭佑選手や大迫勇也選手も低い数値であり、ハリルホジッチ元代表監督のリストでは海外クラブで活躍する選手の体脂肪率はJリーグでプレーする選手よりも低い傾向がありました。長友選手は体幹トレーニングや食事法の効果でしょうか、体脂肪率が最も低い選手でした。海外は選手のパフォーマンス管理を徹底しているクラブもありますので、それが体脂肪率の低い理由かもしれません。
サッカー選手が体脂肪率を気にするのは、スピードとパワーのバランスを保つためであり、怪我をし難い身体を作るためです。体脂肪率と一緒に体重まで落ち過ぎてしまっては、パワーも落ちてしまう可能性があります。大切なのは、体脂肪率を落としながら筋力を増やすことで、除脂肪体重を落とさないようにすることです。まずは普段の食事とトレーニングを見直してみませんか?
動画=YouTube【長友佑都が教える自宅で簡単体幹トレーニング】
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