契約内容流出で去就が注目されるリオネル・メッシ選手。移籍金なしで移籍できるボスマンルールをおさらいしよう!

スポーツ史上最高金額の契約を、地元紙がリーク!

2021年1月31日、スペインのエル・ムンド紙がリオネル・メッシ選手とバルセロナが2017年に締結した契約書を独占入手し公表しました。

その契約内容は、4年で最大で総額5億5523万7619ユーロ、日本円にしておよそ700億円という天文学的な金額であり、スポーツ史上最高額であると報じています。

バルセロナはクラブとメッシ選手への名誉毀損であるとして、エル・ムンド紙に対して法的処置を考えているとのことです。

今回の契約内容流出によってメッシ選手はバルセロナから去るのではないかとの憶測が流れていますが、2020-21シーズンが開幕する前にも退団報道がありました。

そして当時公開されたバルセロナの2019-20シーズン年次財務報告書において、バルセロナの負債金額が10億ユーロ(約1300億円)もあることを公表しています。バルセロナの財政事情を考えると、契約更新は困難ではないのかというのです。

通常選手を獲得する際には、移籍金を所属クラブに支払う必要がありますが、23歳以上の選手は残り契約期間が6ヶ月以内になると、移籍金なしでの交渉が可能になります。

本記事では、メッシ選手の契約内容流出で注目が集まったボスマンプレーヤーとボスマン・ルールについて解説しようと思います。

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契約期間終了後も選手はクラブのもの…はおかしい!

©Photo:pixabay.com[Andy03]

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ボスマン・ルールは、1990年にベルギーリーグ2部のRFCリエージュに所属していたジャン=マルク・ボスマン氏が、契約満了後フランス2部リーグのUSLダンケルクに移籍しようとした際、リエージュはこの移籍に難色を示し、所有権を主張して移籍を阻止しようとしました。

当時は契約満了後であっても、選手の保有権はクラブが保持していたため、クラブが認めない限り選手の自由な移籍は不可能でした。

これを不服とし、ボスマン氏はRFCリエージュとベルギーサッカー協会に対し、所有権の放棄を求める訴えをして勝訴した後、1995年にはUEFAに対しても裁判をおこしました。UEFAへの裁判にも勝訴して、「契約期間が終了した選手は自由に移籍交渉できる」こと「EU域内の選手であれば外国人枠にならない」の2点が認められることになりました。

前者をボスマンプレーヤーと呼び、契約期間満了の半年前から移籍金なしでの交渉が可能になります。

この判決により、選手の流動化とクラブ間の格差が拡大したと言われています。またメッシ選手は2021年6月末が契約期限ですので、2021年1月1日以降はボスマンプレーヤー として移籍交渉が可能になります。

メッシ選手を移籍金なしで獲得できるとなれば、多くのビッククラブが興味を示すに違いありません。ネイマール選手のいるPSGやペップ・グアルディオラ監督のいるマンチェスター・シティがメッシ選手の獲得を狙っているという報道も流れている中での契約内容流出ですので、バルセロナの深刻な財政難と相まってメッシ選手の移籍に現実味を帯びているというわけです。

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ドイツに日本人選手が増えた理由はボスマン・ルールだった?

©Photo:unsplash.com[Christian Wiediger]

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2010年代のドイツ・ブンデスリーガは、欧州で最も日本人選手が多いリーグでした。昨年引退した内田篤人氏や、先日ギリシャのPAOKに移籍が決まった香川真司選手、スペイン・リーガエスパニョーラのSDエイバルに所属する乾貴士選手と武藤嘉紀選手など、かつては10人以上の日本人選手がブンデスリーガで活躍していましたが、現在は大迫勇也選手と長谷部誠選手など6人にまで減少しています。

ドイツ・ブンデスリーガのクラブは、欧州各国リーグの中でも厳しい経営基準を適用して負債が増えすぎないようにしています。そのため年棒の高い選手を獲得できるのはバイエルン・ミュンヘンやレッドブル・ライプチヒ、ドルトムントなどに限られます。

その他のクラブは選手獲得に多額の移籍金を投じることができないため、ボスマンプレーヤーや買取オプション付きレンタル(期限付き移籍で選手を獲得し、活躍したら買取る権利を行使すること)を利用しました。

スポーツ産業学研究の論文によると、2000年前後のJリーグでは、移籍金を支払って選手を獲得するケースは少なく、多くは契約期間満了後のフリートランスファー(ボスマンプレーヤー)であったと報告しています。実際ドイツに移籍した選手の移籍金はどうだったのかを確認してみましょう。

移籍年度選手名移籍金(1ユーロ=130円換算)移籍チーム所属チーム
2008年長谷部誠0円ヴォルフスブルク浦和レッズ
2010年香川真司0円ドルトムントセレッソ大阪
2010年内田篤人1.5億円シャルケ04鹿島アントラーズ
2011年乾貴士0.65億円ボーフムセレッソ大阪
2011年岡崎慎司0円シュツットガルト清水エスパルス
2011年牧野智昭0円ケルン浦和レッズ
2012年清武弘嗣1.3億円ニュルンベルグセレッソ大阪
2014年原口元気0.65億円ヘルタ・ベルリン浦和レッズ
2014年大迫勇也0.65億円1860ミュンヘン鹿島アントラーズ

表1:ドイツ・ブンデスリーガへ移籍した日本人選手 Transfermarktより編集部作成

表1を見ると、Jリーグでは主力として活躍している選手であっても、移籍金なしのボスマンプレーヤーか多くても1億円前後の移籍金しか受け取れていないことが分かります。欧州ではボスマン・ルール以降、移籍金が高騰していますので、移籍する際にボスマンプレイヤーとなることが多かった日本人選手は低リスクで獲得できる存在でした。

Jリーグもせっかく育成した若手選手が0円で移籍されてはたまりませんので、選手に代理人をつけて移籍金がクラブにも配分されるように指導しました。その結果0円で移籍する日本人選手は減少したのですが、ドイツのクラブは日本人選手の獲得を控えるようになりました。

前述の通り、2021年1月末の段階でドイツ・ブンデスリーガ1部に所属する日本人は6名と減少傾向が続いていますが、近年はオランダやベルギー、オーストリアのような外国人枠がなく、若手選手が多いリーグに移籍する日本人選手が多くなっています。

今後は日本人選手が海外移籍を目指す場合、直接ドイツに行くよりも、一旦ベルギーなどに移籍して実績と経験を積んでからステップアップするパターンが定着すると思われます。

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2021年注目のボスマンプレーヤーたち

©Photo:unsplash.com[Vienna Reyes]

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バルセロナとの契約内容流出によりメッシ選手がボスマンプレーヤーとして他クラブへ移籍するのか、その去就に注目が集まっていますが、2021年6月が契約期限となるスター選手を紹介して本記事を締め括りたいと思います。

夏には他クラブのユニフォームを着ているのか、もしくは契約延長するのか、世界が固唾を飲んで見守っています!

選手名所属チーム
リオネル・メッシバルセロナ
セルヒオ・アグエロマンチェスター・シティ
セルヒオ・ラモスレアル・マドリード
ポール・ポグバマンチェスター・ユナイテッド
ダビド・アラババイエルン・ミュンヘン

表2:2021年1月末日 移籍の噂がある有名ボスマンプレーヤー 編集部作成

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