気温の変化に対応してパフォーマンスを持続させよう
低体温症は体の中心体温(直腸温)が35℃以下に低下すると、さまざまな障害を引き起こします。当然フィールド競技のサッカーでも起こりうること。パフォーマンスを落とすだけでなく、体にも危険を及ぼすこともあるので、しっかりと対策をしましょう。
体が小さなジュニア選手は特に注意! 低体温症になりやすい環境とは
人間の体は普段、36〜37℃の体温で維持されていますが、寒さなどで低下してくると体をガタガタと震わせることがあります。これは筋肉を収縮させることで熱を発生させ、体温を上昇させようとしているからです。しかし、寒さが続くと体力が消耗して体温維持が難しくなってきます。そして体温が35℃以下に落ちたとき、低体温症がでてきます。低体温症は体温によって症状がいくつか分類されます。
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・低体温症の分類
①34〜36℃:無関心、健忘、言語障害、運動障害など
②30〜34℃:昏迷、心房細動、筋硬直、意識レベルの低下など
③30℃以下:反射・痛覚消失、高度低血圧、自動運動減退など
④20℃以下:脳波消失、心室細動、無呼吸、筋硬直、心不全など
体温の低下が深刻になるにつれ、体の重要な器官の機能も低下していきます。最悪の場合、死に至るケースもあるので注意が必要です。では、どのような環境が低体温症を引き起こしやすくするのでしょうか。
・低体温症を引き起こしやすい環境
①気温が低い、変化が大きい(盆地、大きな日陰ができる場所など)
②風が強い(河川敷、海岸近くなど)
③雨や雪が降っている

例えば、寒い場所で試合が行われるとき、冷気だけでなくさまざま場面で体から熱が奪われていることを認識しなくてはなりません。
体や衣類が汗や雨などで湿った状態で風にさらされると、気化熱(液体が気体になるときに周囲から吸収する熱)により急激に体温が低下することがあります。もちろん、走ることで体は風を受けますので、ここでも体温が奪われていることも忘れてはなりません。
こういった環境に加えて、成人に比べ体脂肪・筋肉の量が少ないジュニアの選手は低体温症になりやすいので特に注意が必要です。
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低体温症の予防は細かな体温調節が鍵! 着やすさ脱ぎやすさを意識した服装を

Photo:Pixabay.com[PIRO4D]
・防寒・保温のためのウェア選びポイント
①気候に合わせたウェア
②体温調節が可能な重ね着
③ドライ&ウォーム素材のウェア
④帽子や手袋のアクセサリー
サッカーの場合、基本的なウェアは足元からソックス・パンツ(+インナーパンツ)・シャツ(+インナーシャツ)のセットなります。寒さや天候によって、このセットで使われているウェアの素材や仕様を変えていくことで対応していきましょう。
ソックスは素材がポリエステルのものが多く、寒さに特化された商品は少ないのが現状です。中には綿が入っているソックスもありますが、スパイクの中で蒸れてしまい、かえって足が冷たくなってしまうことがあるので注意が必要です。
パンツとシャツはハーフとロングの2つの仕様に大きく別れます。素材としては吸汗・速乾性に優れたジャージ素材、ソフトで着心地が良いウォームアップスーツ、風を通さず体温を逃さないウィンドブレーカー、これらの素材の内側に起毛がついた発熱保温素材など多岐にわたります(名称と機能についてはメーカーごとに異なります)。
インナーパンツ・パンツもハーフとロングに別れており、通気・快適性重視から発熱・保温性重視までさまざま。公式戦ではユニフォームの上に何も着られないので、体の熱を逃さないインナーウェアを準備しましょう。この他にも帽子、手袋、ネックウォーマーといったアクセサリーを身につけることにより、より防寒・保温につながります。
トレーニングや試合では、会場への移動・ウォーミングアップ・プレー中・クールダウン・帰宅といった各場面で体温が変化しますので、着脱が簡単に行えるものが便利です。また、保護者はまだ上手にウェアの選択ができない子どもが、体を冷やさないようにサポートしましょう。

「長いのイヤだ!」はウェアの素材を工夫してみよう
ジュニアの選手の中には、1年をとおして「短パン小僧」がいることがあります。チームのみんなが暖かな服装をしているのに、1人だけポツンと短パン姿。「寒くないの?」と聞くと「寒くない!」と鼻水を光らせながら答えます。保護者に聞くと「本人が『長いのイヤだ!』っていうもので……」と、子どもの強情に根負けした様子。
とはいえ、体は寒さでダメージを受けているのは確かです。そこで、ウェアの素材を工夫すると良いかもしれません。近年、サッカーのロングパンツはタイトフィットのものが、各メーカーからリリースされています。非常に優れた伸縮性と通気性で、プレーの妨げになりにくいのが大きな特徴です。今まで「パンツが膝で引っかかる」「袖口がパタパタ当たってイヤだ」といった理由でロングパンツを履かなかった子どもでも、履いてくれるかもしれません。
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