子どものボールへ向かっていく勢いを削ぐと大人になってデュエルの課題が出る

前回までのコラムでは、小学校低学年において最初に向き合い、一番大切な問いかけであり、一番コアになるべき戦術的アプローチとは「子どもたちが団子サッカーをどのように自主的に解消していくか」になるという話をし、U8、U9それぞれの年代における攻撃トレーニングについてを考察を行った。今回は守備に関して取り上げてみようと思う。

守備でも大切な「やれ」ではなく「なぜ」の指導姿勢

まず守備をするとは何を意味するのだろうか。「わかりきったことを」と思われるだろうが、まだサッカーを始めたばかりの子どもたちは「守備」という言葉を聞いて、すぐその「わかりきったことを」イメージできるだろうか。

やろうとすることとやっていることのイメージはかみ合ったほうがいい。一つ一つのプレーに納得できるからだ。大人でも子どもでもそうだろう。なぜそれをすべきかとわかっているときのほうが、スムーズにストレスなく取り組むことができる。どんなことでも「いいから言われたとおりにやれ」と言われてやっているときは、表面的なことしかなぞれていない。

だから守備に関しても、まずは「ボールを奪う→攻撃につなげるため」「ゴールを守る→失点を防ぐため」というシンプルな表現でアプローチしたい。その中でどのようにボールを奪い、どのようにゴールを守るのかを取り組んでいくというわけだ。

この年代の守備に関して特に注意したいところは、ボールへ向かって一直線に向かっていく勢い自体は、とても大切だということだ。「突っ込むな!」「固まるな!」と禁止用語で行動を制限するのは避けたい。日本の子どもたちも7,8歳くらいまではボールを奪い合って激しくフェアにやりあう。なのに、大きくなるにつれて”デュエル”とされるものがなくなってしまうのはなぜだろうか。それは大人がダメだしするからだ。

そのため彼らはいつでもハンドブレーキを引いたままプレーをしている。逆に激しさだけをクローズアップする指導者がいる。そうすると彼らはぶつかることに躊躇しない。そして危険なファールを繰り返す。彼らはブレーキの使い方を知らないままだ。

子どもたちの持つ球際への意欲・勢いを奪い取るのはNG。だからと勢いがあればいいというわけではない。そうではなく、“いつ”爆発させるかを知ることが重要なのだ。

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中野吉之伴

中野吉之伴(なかの・きちのすけ)/41歳。ドイツサッカー協会公認A級ライセンス保持(UEFA-Aレベル)。01年渡独後地域に密着した様々な町クラブでU8からU19チームで監督を歴任。SCフライブルクU15チームで研修 を積み、現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督と、息子がプレーするSVホッホドルフでU9コーチを務めている。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。ナツメ社より出版の「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」は18年サッカー本大賞優秀賞に選出。WEBマガジン「中野吉之伴『子どもと育つ』」