小嶺イズムの継承者、スペインで得た知識と確信4

バルセロナは“蹴球馬鹿”が集まる街だ。バルサのフットボールに魅了され、ある者は休学し、ある者は職を辞してこの街にやってくる。中でも多いのが指導者。近年は現地で学んだ監督たちが続々と帰国し、日本で活躍しはじめている。

第4回は選手として、指導者として学んだ恩師・小嶺忠敏氏の指導について聴いた。

(取材・文=工藤拓)

コピーする指導者はいない

日本の指導現場に足りないものが、まだたくさんあることは事実。だが、日本の指導を全否定する必要はない。例えば、高校サッカー界で一時代を築いた、あの名将のスパルタ指導には、スペインとの共通点が少なからずあったという。

――日本の指導者に欠けているものは

「小嶺先生が指導者を集めて『こういうのが大事だ』と話したことがあるんですけど、指導者の人たちが真似しちゃうんですよね。でもそれって小嶺先生にしかできない指導。(しかし、指導者が現場に戻ると、)『あれだけ日本一になった小嶺先生が言っていることだから、日本一になったチームがやっていることだから、お前たちもやれ』って感じの話を結構耳にしていたんですよ。しかしそれでは、あなたの指導じゃない。

スペインでは指導者学校で普遍的な知識や、その中のチームマネージメントを学ぶんですけど、結局は各指導者がそれぞれの方法でやっている。全く同じような方法をとっている、コピーしているような監督は見たことがない。みんな自分の伝え方を持っている。

それが日本だと極端な感じになるので、その人のキャラクター、その人の指導法で作っていけばいいんじゃないかなと思います。

高校サッカーを築いた小嶺先生だとか小沼先生だとか、静学の井田さんのような大御所といわれる人たちって、絶対に自分のスタイルがあるんですよ。同じぐらいの年代なので、お互い切磋琢磨して『俺はこれでやる』っていうのがあって。だからいまだに名前があると思うんですよね。あえて真似るという言葉を使うなら、概念や文化を真似すればいいのかなと思います」

 

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吉住貴士

吉住貴士(よしずみ たかし)/1986年生まれ。長崎県平戸市出身。国見高―鹿屋体育大卒。長崎総合科学大学附属高サッカー部コーチを5年間務めた後、2013年に渡西。バルセロナの町クラブで育成年代の指導に当たりながらスペイン指導者ライセンスのレベル2(日本のA級に相当)を取得。17年の帰国後はスペイン1部RCDエスパニョールが開校したジャパンアカデミーの責任者として本場のフットボールを伝えている。