前回のコラムではU8年代の攻撃トレーニングについて紹介させてもらった。その年代の特性を生かすために、ウォーミングアップからすぐ体を動かせるトレーニングを導入したり、技術要素の中に少しの戦術要素を加えることで「何のためかという戦術的かつゲーム的な考え方」を身につける大切さを指摘した。
今回はU9年代での攻撃トレーニングについて掘り下げてみようと思う。
「団子サッカーはオッケーか?」
おそらく小学校低学年で一番最初に向き合い、そして一番大切な問いかけであり、だからこそ一番コアになるべき戦術的アプローチはここにあると思う。
「昔からそうやっていて、子供たちは成長しているから間違いではない」
「むしろ団子をこじ開けるような個の力が育まれるから問題ない」
「サッカーを始めたばかりのころはボールばかりに気持ちがいくから団子サッカーになるのはしょうがない」
そうした声が日本で現場の人から聞く。どれも一理ある。ただ、問題は「それが正しいかどうか」ではなく、「それが次の段階へのスムーズな一歩となるか」どうかだ。つまり団子段階でサッカーをすることが将来的にプラスになると言うのであれば、大人になった時に「団子状態」をかいくぐる必要性がある状況が、サッカーというゲームの中に出てくるという終着点がなければならない。ではラクビーのスクラムくらいの、密で相手が連続かつ同時に襲いくる中を真っ向から立ち向かうようなことがあるだろうか。ない。では、そうならないようなやり方を身につける術を考えたほうがいいではないか。
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