【中野吉之伴コラム】子どもたちの団子サッカーを自発的に解消させる方法

前回のコラムではU8年代の攻撃トレーニングについて紹介させてもらった。その年代の特性を生かすために、ウォーミングアップからすぐ体を動かせるトレーニングを導入したり、技術要素の中に少しの戦術要素を加えることで「何のためかという戦術的かつゲーム的な考え方」を身につける大切さを指摘した。

今回はU9年代での攻撃トレーニングについて掘り下げてみようと思う。

「団子サッカーはオッケーか?」

おそらく小学校低学年で一番最初に向き合い、そして一番大切な問いかけであり、だからこそ一番コアになるべき戦術的アプローチはここにあると思う。

「昔からそうやっていて、子供たちは成長しているから間違いではない」

「むしろ団子をこじ開けるような個の力が育まれるから問題ない」

「サッカーを始めたばかりのころはボールばかりに気持ちがいくから団子サッカーになるのはしょうがない」

そうした声が日本で現場の人から聞く。どれも一理ある。ただ、問題は「それが正しいかどうか」ではなく、「それが次の段階へのスムーズな一歩となるか」どうかだ。つまり団子段階でサッカーをすることが将来的にプラスになると言うのであれば、大人になった時に「団子状態」をかいくぐる必要性がある状況が、サッカーというゲームの中に出てくるという終着点がなければならない。ではラクビーのスクラムくらいの、密で相手が連続かつ同時に襲いくる中を真っ向から立ち向かうようなことがあるだろうか。ない。では、そうならないようなやり方を身につける術を考えたほうがいいではないか。

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中野吉之伴(なかの・きちのすけ)/41歳。ドイツサッカー協会公認A級ライセンス保持(UEFA-Aレベル)。01年渡独後地域に密着した様々な町クラブでU8からU19チームで監督を歴任。SCフライブルクU15チームで研修 を積み、現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督と、息子がプレーするSVホッホドルフでU9コーチを務めている。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。ナツメ社より出版の「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」は18年サッカー本大賞優秀賞に選出。WEBマガジン「中野吉之伴『子どもと育つ』」