“まねぶ”を学んで新たな指導を積極的に取り入れる“真似る”の姿勢

現在はインターネットで、海外のビッグクラブのトレーニング動画や、日本代表選手のトレーニング映像などが、気軽に見られるようになりました。

日本にはない、海外の文化を取り入れていくことは非常に良いことですし、子どもたちが「〇〇選手みたいになりたい!!」と、憧れを持ってその選手を真似、日々のトレーニングに励むことも重要です。

なかでも「真似る」という行為はスポーツに限らず、物事を学習・習得する上で、効果的な方法です。学ぶが「まねぶ」の語源であり、真似ると同じ同源であることは周知のとおりですが、この真似ることについて、指導者の立場からお話します。

最近ではMASAKI SPORTS ACADEMY(以下MSA)のスタッフ陣が指導を行っているスクールやイベントでも、指導者や保護者の方々がピッチ外にビデオカメラを設置して、トレーニング風景を撮影したり、また実際にMSAで行なっているトレーニングを自身のチームで行なっている、なんて話も耳にします。

MSAで取り組まれているトレーニングは、海外で行われている最新のものや、海外のメソッドを日本人向けにMSAが独自にアレンジした内容となっています。外部のものをそのまま取り入れるのではなく、日本人選手がすばやくトレーニングの目的を理解できるようにしているのです。傍から見るとMSAのトレーニング風景は珍奇かもしれませんが、目的はブレず選手にさまざまな方向から刺激を与えているにすぎません。

選手であれば、動画で見たプレーを真似ようとすることで、レベルアップが期待できます。しかし、指導者に関しては、注意しなければならないことがあります。私自身、真似ることへの訓戒として印象深く残っているエピソードがあります。

それはMSAで開催した某外国人指導者を招聘して数日間、国内でクリニックを行ったときでした。参加選手は約200名。どんなトレーニングを行うのかと、選手の保護者や指導者の姿も多く見られました。グラウンドにスタッフが移動すると、そこには三脚にビデオカメラをセッティングした方が、まるで記者会見に挑むマスコミのようなオーラを漂わせながらスタンバイしています。

公開練習を思わせる雰囲気のなか、クリニックも無事に終わり一段落していると、指導していたコーチが私のところにきて「ビデオを撮っていたのは、日本の指導者達? だとしたら映像をビデオに収めるだけが目的だったのかな。コーチングやトレーニングにおける指導のポイントや疑問を、僕に聞きに来た指導者は一人も居なかった。とても残念だ」。

その言葉は私の胸に釘を打ちました。確かに日本では、「海外で流行っているから、海外で有名だから、海外で取り組まれているから」といった理由でそのトレーニングの真似をすることが非常に多い。

海外の指導者も、最終的には「やってみよう」になりますが、実行に至るまでのプロセスを持つことが大前提となります。ビジネス用語で言えば「PDCA※」を何度も行う中で、必要か不必要か、既存か修正かといった改善を行い、その結果として第三者から見て「海外で流行っている」「海外で成功している」という結果が出てき(得られ)ます。

※PDCA:PDCA サイクル。plan(立案・計画)、do(実施)、check(検証・評価)、action(改善)の頭文字を取ったもの。計画から見直しまでを一貫して行い、それを次の計画・事業にいかそうという考え方。

日本では、まだ「珍しい」「流行っている」を無理やり理由にして選手に指導しているクラブがあります。確かにファーストインパクトはよいのかもしれません。ただ、そこにトレーニングの目的や編成が見えないのに、表面的な「真似」ばかりを進めてしまうと、選手に伝えたい本質が伝わることは間違いなくありません。

このように書くと、何かを「取り入れる」ことに消極的になってしまうかもしれません。しかし冒頭に述べましたが、真似ることは学ぶ上で大切な要素です。新しいトレーニングやメソッドのインプットは、積極的に行うべきことです。

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平川正城

平川正城(ひらかわまさき)神奈川県出身。ユース年代は「清商」の愛称で親しまれたサッカー名門校、清水商業高校(現清水桜ヶ丘高校)から、湘南ベルマーレへ。湘南-草津-Y.S.C.C.-SC相模原とJリーグクラブを渡り歩き引退。スポーツをとおして、日本の子どもたちと世界の架け橋になることを目的とした「MASAKI SPORTS ACADEMY(MSA)」を2013年に設立。現在は海外仕込みのメソッドを日本人向けに改良した独自の「MSAメソッド」を確立し、日本全国のMSAにて子供達へ伝えている。JFAこころのプロジェクト「夢先生」も務める。