フットボール競技者が世界で一番多い国から学んだこと。指導者が思考すべき子どものための環境とは【保護者編】

マインド編」では、指導者同士の関わり方や選手への接し方をお話ししました。

第三回は「保護者編」です。私は指導者という立場から、保護者の皆さんと関わっています。そこで感じることは、指導者と同じく、保護者は大切な仲間であること。大切であるからこそ、日頃の連携が大切であると思っています。

話すだけが手段ではない。SNSが作り出すフットボールのつながり

私がサポートしているチームを見学していたとき、ふとあることに気づきました。見学している保護者が誰もいなかったのです。

保護者が子どものフットボールを見学することは、もちろん強制ではありません。地域柄、チーム形態、家庭によって、保護者のチームに関わり方はさまざまだからです。ただ、我が子がフットボールを楽しんでいる様子、指導者がどんな声掛けや姿勢で指導をしているのを温かく見守ることは、非常に大切だと思います。

保護者がグラウンドに足を運ぶことは、指導者にとっても大きなプラスになります。指導者が自身の言動を「見られている」という状況は、非常に刺激になるものです。なぜなら、緊張感を保ちながら現場に立つことができるからです。

このように保護者にお伝えすると、頑張ってグラウンドに行き、トレーニングの内容を完全に把握して、家庭で子どもと「ミーティング」しなければならないと思ってしまう方がいます。しかし、そこまで行う必要はありません。保護者にはグラウンドで、「指導者がなにを大切にして、どのように選手に伝えているか」「どのようなトレーニングをしているか」などを感じるだけで十分です。

「私はフットボールのことは、何もわからないから……」と、臆せず。大切なのは、選手と指導者の表情です。例えば、シュート練習で選手がだらけてしまったり、雑談をしていたとします。トレーニング中にもかかわらず、選手が集中力を欠いてしまった原因があるはずです。それを家庭で聴くだけでも、チームの指導向上に大いに役立ちます。特に専門的な知識は必要ありません。

「選手に集中力がなかったのか」「指導者の声掛けが足りなかったのか」「トレーニングのオーガナイズ(プレーする広さ、プレー時間、参加人数など)に不備があったのか」……。フットボールのことを詳しく知らなくても、選手の表情で、これだけの修正ポイントが浮かび上がってくるのです。

反対にこういった「現場の情報」が共有されていない状態だと、フットボールを行う環境が修正されないままになってしまいます。私がサポートしているチームのトレーニングで、選手がプレーの順番待ちのため「長蛇の列」ができるオーガナイズ。毎週、指導者がこの状況を繰り返していた原因は、指導者、選手、保護者のつながりが希薄なためではないか、そう私は推測しました。

では、保護者との連携をどのように深めていくか。

保護者にグラウンドに来てもらうことが一番良いのですが、今まで来なかった状況を一変するのは容易ではありません。無理にアクションさせようとすると、かえって関係に距離ができてしまう場合もあります。

私はこれをスマートフォンの連絡ツールやSNSを使用することで、変えることはできないかと試みています。以下にいくつかの事例を挙げます。

・子どもの教育のヒントになりそうなコンテンツをシェアし、チームや指導者に興味をもってもらう
・試合会場への配車協力などを通して、実際に保護者に会場にくる機会を設けることで、コミュニケーションの発生を促す
・SNS内でのやり取りで、他の子どもの名前などを知ることで、チームへの興味関心が広がる

また、リアルなアクションとして小さな懇親会を開き、チームや指導者の考え方の共有をはかっています。

一人の子どもの成長には多くの人が関わっています。チームの指導者は、その一部分を担うにすぎません。子どもに関わっている人と人がつながっているほど、より豊かな環境をチームで作り上げることができ、さまざまシナジーが生まれるはずです。

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末本亮太

末本亮太(すえもとりょうた)。1978年、東京都生まれ。神奈川県立横浜翠嵐高校、早稲田大学教育学部で学業と平行してサッカーに打ち込む。現在は横浜市港北区大豆戸町にあるNPO法人・大豆戸フットボールクラブの代表を務める。「ちょっと自慢できる、サッカーを通じて出会うはずのない感動、人、未来を創造し、非日常を提供すること」を使命に掲げ、精力的に活動。選手を連れて被災地訪問など、NPO団体としてサッカーだけにとどまらない活動も行っている。