【U10・11年代】ドイツに学ぶ育成法

積極性の芽を潰さない

U10-11年代になると小学校高学年になり、心身ともに成長が著しい時期に入ってきます。思春期の少し手前の時期でもあり、子どもから少年少女へと変化をし始める頃でもあります。ドイツの育成法を参考に、この年代での育成で気をつけるべきポイントはどんなことがあるでしょうか。

競争への関心を積極性へとつなげる

U10-11年代での心身の変化

ドイツのU10-11年代はEユースというカテゴリーとなり、この年代ではU8-9年代での5人制サッカーから7対7(GK+6人のフィールドプレーヤー/25分ハーフ/10チームによるホーム&アウェーによるリーグ戦)へと試合形式が変わります。

U10-11年代になってくると、子どもたちには以下のような性質や特徴が見られます。

  • 体を動かすことを楽しめる
  • 競争への強い関心を持つようになる
  • 上半身と下半身のバランスが取れてくるが、まだ全体的な筋力は弱い
  • テーマごとへの集中力は見られるが、まだ長時間持続できない
  • 思春期に差し掛かり、繊細さがみられるようになる
  • まだ大人の意見に無批判に従う傾向がある

U8-9年代と比べると身体の成長とともに、さまざまな動きをよりダイナミックにできるようになってくるのがU10-11年代です。スピードやパワーがついてくるのに加え、競争への強い関心を持つようになります。この年代では、その関心を活かし、積極的にプレーに関わるように働きかけていくことが大切です。

一対一での局面、シュートチャンス、スルーパスやワンツーパスなどの仕掛けなど、様々な場面で自分で判断して決断し実行することで得ることができる経験や学びを、次へと活かしさらにチャレンジしていくという環境が何より必要となります。

そのため指導者や保護者は、競争への関心を積極性に繋げるような接し方をするよう心掛けなければなりません。

自発的なチャレンジを否定しない

プレーをする際、ただやみくもに仕掛けるということではなく、相手を抜くためにはどうした駆け引きが必要か、相手からボールを奪うためには何に気を付けなければならないのか、といった点を意識しながらプレーするように働きかけましょう。この際、気をつけなければいけない事は「ミスをしないため」の消極的なやり方は、さらなる成長を妨げてしまうという点です。

「なんでできないんだ!」
「だってわかんないんだもん!」

子どもたちにはそうした反論が許されないことがあります。そして「言い訳はするな」と言われてしまうと、子どものやる気がなくなるのは当然といえるのではないでしょうか。

これは他の年代においても重要な点ですが、このU10・11年代では特に気をつけなければなりません。積極性が出てくる一方で、まだ大人の意見に無批判に従う傾向があるからです。せっかくチャレンジしたにもかかわらず、頭ごなしに怒られたり、否定されたりすると、思春期に差し掛かり繊細さがみられるようになった子どもの心は傷つき、チャレンジしなくなります。そして怒られないように「ミスをしないため」の消極的なやり方しか選ばなくなるのです。

この年代で積極的なアプローチを身につけ損なうと、その後取り戻すことが非常に難しくなります。どれだけミスをしようと、自発的にチャレンジしようとしている姿勢は絶対に否定せず、サポートしなければならないのです。

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自発的なチャレンジは戦術理解の熟成にも繋がる

自発的な認知・判断・決断をさせよう

この年代でのプレー面ではどんなことに気をつければいいでしょうか。DFB(ドイツサッカー連盟)のタレント育成主任のマルクス・ヒルテが以前行われた国際コーチ会議の講演でこんなことを指摘していました。

現在行われている7人制のサッカーを分析してみたんですね。どんなプレーが一番多いのか、どんなプレーを子どもたちは選択しているのか。U10-11年代だとパスの頻度が非常に多い。みなさんもそう感じていると思います。ドリブルやシュートと比べて圧倒的に多いんですね。これだけだと、ただのデータ比較にしかならない。ただ、とても気になる数字があるんです。それはパスの成功率が非常に低いことなんです。

基本的にドイツでは他のヨーロッパ諸国同様、小さいころから自分たちでボールを回してゲームをコントロールして、意図的に攻撃を組み立てることが一般駅な取り組みとして行われています。しかし実際に試合データを調べてみると、パス成功率が50%を下回ることも少なくなかったというのです。それがなぜかといえば、それは自分で意図して狙って出したパスではないからでした。

「とられるな。すぐにパスで回せ」と指導者に言われれば、子供たちは早くプレーすることばかりに気がいってしまうのです。結果「なぜ、どうして、どこへパスをするべきか」の判断なしでプレーすることになります。

人間は行動するときに「認知→判断→決断→実践」というプロセスを踏むとい言われています。けれど、認知、判断、決断を自分でしている子どもは圧倒的に少ないのが実情です。ピッチの現象を認知し、そこからプレー選択肢を判断し、何をすべきか決断しているのは、ピッチ外から叫び続ける指導者や保護者だからです。だからいつまでも認知力、判断力、決断力が身につかず、成功率の低いプレーに終始してしまうのです。同様にプレー成功率という数値で見てみると、ドリブルやシュートでも似たような傾向がみられます。だからこそ、この年代でもしっかりと子供たちが認知、判断、決断できるような練習、試合環境を整えることが重要なのです。

判断基準を整理して実践させよう

ドイツサッカー協会ではこの年代において取り組むべき内容について以下のようにまとめています。

・戦術=どのように判断するのか

 この年代での実践:個人戦術の基礎を学び、初歩的なグループ戦術に触れ合う

・インテリジェンス=どのように決断するのか

 この年代での実践:駆け引きの中でプレーすることを要求する

・技術=どのようにプレーするのか

 この年代での実践:スピードよりも正確さを大切に

7人制となることで中盤という概念が生まれてきます。ゴールを奪う、ゴールを守るためにはゴール前に運ぶ、ゴール前まで運ばせない、という考え方が必要になってくるからです。試合に対する判断基準を整理させながら

【U10】1対1における基本的な個人戦術から初歩的なグループ戦術に触れ合うところまで

【U11】1対1における個人戦術をより状況に応じて使い分けられるようになり、グループ戦術にも少しずつ積極的にチャレンジできるところまで

成長していけるのが望ましいといえます。

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オフザボールの動きの理解へつながる

この年代で少しずつグループ戦術という考え方を理解し、試合で実践するためにはボールがないところでの自分の役割、課題を理解することが大切になってきます。いわゆる「オフザボールの動き」というものです。【自分一人でプレーするのではなく、選手同士のつながり合いの中でプレーがある】それがサッカーにおいて何よりも大切な基本なのです。

小さい時からサッカーを始めて、U8-9の5人制サッカーで基本的なことを経験してきた子どもたちなら、こうしたアプローチをすることは十分にできる。ただ、この年代からサッカーを始める子も多いでしょう。そうした時は無理をせずに、それこそU8やU9で取り組むようなシンプルで楽しいトレーニングから始めれば全く問題ありません。慣れてきたら次へと移行すればいいし、やってみてまだ難しそうならまた戻ってみてもいいでしょう。子どもたちの成長には個人差がありますし、まだ記憶に定着するまでは時間がかかるものです。昨日の練習で理解してうまくできていたことでも、次の練習ですっかり忘れてしまっていることがあるかもしれません。しかしそれを「自然なこと」と捉え、大人のものさしで子供の成長を測ったり、強要したりせず、失敗を恐れない積極性を育てていきましょう。

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