単純なトレーニングに意味を持たせよう!想像力を伴う反復練習とは

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今一度、反復練習の魅力を確かめる

反復とは、何度も繰り返すことです。スポーツのトレーニングでは基礎技術の習得の際に、強調されてきました。しかし昨今のサッカーにおいては、反復練習は効果的ではないという意見が多く出てきました。

その理由は、サッカーのシチュエーションにない状態で、同じ動作を行っても生きた技術が身につかないから、というものです。

確かに一理あるといえます。刻一刻と状況が変化する試合において、選手は状況を認知しながら最適なアクションを繰り返すことが求められ、それが機能することでチームの有機的なプレーへと繋がるからです。

しかしシンプルな対面パスやコーンドリブルなどは、基礎的な技術を養う上で、効果のある練習方法の一つであるということも事実です。

「反復練習は古い考え、これが今の常識だ」という言葉で、ないがしろにする前に、今一度、反復練習の魅力を確かめます。

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壁さえあればできるキックの練習があります。蹴っては跳ね返りを繰り返す、この上ないシンプルな練習方法です。動作としては「ボールを蹴り、止める」だけです。

この一見地味な反復練習に、ある選手は五分も経たないうちに飽きてしまう一方で、ある選手は黙々と蹴り続けることができます。この違いはなんでしょうか?

その理由は「常に変化しているか否か」ということです。

同じ「蹴る」でも、実は様々な違いがあります。インステップ、インサイド、アウトサイドなどがありますが、それだけではありません。

「足の指のどこにボールを当てるとイメージした通りの回転がかかるのか」

「ライナーボールをスムーズに蹴るために、どこに(ボールを)置けばいいのか」

など、実際には意識を向けるべきイメージは底を尽きません。

元日本代表の中田英寿さんは少年時代に「足の指の親指から小指まで、一本ずつキックを蹴り分け、どのような変化があるのか試しながら壁打ちをしていた」というエピソードがあります。

セリエAでも成功した中田英寿さんが現役時代に、ピッチ上で放った一振りで、強固なディフェンスを一瞬にして崩すシーンを見た人も多いのではないでしょうか。そのキックを蹴ることができたのは「どこに」「どのように」「いつ」といった認知も当然必要ですが、少年時代からの想像力を伴った反復練習も大きく関与していると言えるでしょう。

反復練習とは、「たんに動作を繰り返す」と思われています。しかし本当の反復練習とは、動作を繰り返す中で、選手が描いたイメージのインプットとアウトプットもまた繰り返し行われているのです。その進化は微々たるものかもしれませんが、自身の中で連続したアップデートを実行しているともいえるのです。

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チームの中で行う反復練習

ボールが蹴れる場所とボールを当てる壁。「たったこれだけ」といえますが、現在はこの環境がなかなか無いのが実情です。もしくは、あっても禁止されている地域は多いのではないでしょうか。

そうなると、チームで反復練習を行うのも一つの方法でしょう。ただチームの練習としては、あくまでサッカーがメインとなります。絶対に良くない!ということではなくとも、練習のほとんどをそれに当てるのは熟考したいというのが、コーチの本音でしょう。

また選手全員が、反復練習の本質を理解して行うのも、なかなか難しいかもしれません。そんな時は、コンペティション性を持った内容にするのもありではないでしょうか。

例えば、イメージしやすいものではサッカーテニスがあります。浮き球のコントロールを養うのにうってつけの練習です。

「インサイドのみ」「2タッチ以内」といったルールをつけることで、意識させたい技術にフォーカスさせることができます。練習後のリフレッシュに行うのもいいかもしれません。

指導者として、チームの地域性を理解し「選手にはチーム以外でボールを触る機会があるのか」「ない場合はチームとしてそういった時間を確保しているか」といったことを、ぜひ確認してほしいところです。

ボールに触り、触った時の変化を楽しむのも、サッカーの魅力の1つでしょう。選手が成長するための要素として、想像力を伴った反復練習の魅力を再確認してみてください。

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