強豪高校チームで人生初めての挫折
挫折はだれにでもあるもの。
今回はスポーツ挫折してしまった子へどんなッ声掛けをすべきか記事にしてみました。
常にチームの中心だったA君。
A君は小さいころからサッカーをはじめ、ジュニアではチームの中心選手として活躍し、中学校でもサッカー部のキャプテンとしてチームを牽引。そして「高校でもサッカー部で活躍したい!」と熱い思いを胸に、A君は全国大会にも出場したことのある強豪校へ進学しました。
サッカー部の部員数は200名近くもいます。トップチームから下部チームまで合わせるとチーム数は10チーム近くもあります。
小さい時から、試合ではいつもレギュラーで活躍してきたA君でしたが、高校では下から2番目のチームからスタートとなりました。トレーニングに明け暮れる毎日。しかし、いくら努力しても上のチームに上がることはできず、1年が過ぎてしまいました。
全国大会に出場できるのはトップチームのみ。自分もそのピッチに立つことを夢見て入部したA君でしたが、徐々にモチベーションが落ちてきて、挫折感を覚えるようになりました。
高校でも常にトップで活躍できると思っていたA君ですが、気持ちが落ちていくに連れ、チームメートとの差を感じるようになってきました。J下部や強豪クラブから特待生で入部してきたチームメートは、はじめからサテライトチームに振り分けられ、上手くいけばトップチームに上がれる可能性があります。
しかし、A君がいるチームはよほどのことがない限り3年次まで頑張ってもサテライト止まり。レベルと選手層の厚さにただ漠然とした不安と厳しい現実がA君を襲いました。
サッカーとの付き合い方を決める時
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「サッカーは自分を楽しくさせてくれるもの」として捉えていたA君ですが、1人の社会人として、これからどう生きていくのかを感じるようになる年頃です。サッカー部で苦い思いをした今、サッカーとの付き合い方を決める時が来ました。
苦しんでいたのはA君だけではありません。A君の両親もまた、どう接してあげればよいか悩んでいました。息子にとってサッカーは、単なる遊びではなく息子の人生を豊かにしてくれた、かけがえのないものです。それを大学進学のためとか、実力がないとかで切り離すのは、あまりにも可愛そうでした。食卓ではサッカーの話題も減り、当たり障りのない話題で時間が過ぎていきます。
そんなある日、両親は息子が将来のことを日々考えている姿を見て、ひとつのことを決めました。
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悩み続けたA君、2年生の夏に出した答えは……
進級したA君はそれから、部活をしながら学校生活を送っていました。チームはひとつ上がりましたが、トップチームへの道のりはまだまだです。ですが気持ちも落ち着き、学校でも家庭でも明るく過ごしていました。
そして夏休みに入る前、夕飯を家族でとっている時でした。「俺、夏から受験勉強するから」。ポツリとこぼした一言でしたが、両親は息子が大きな決断をしたのだと確信しました。後日、詳しく聞くと、できるだけランクの高い大学に入ってサッカーは友達と楽しむ程度で続けていきたいと言います。
両親はA君の決断を素直に受け入れました。もし、A君が大学でも体育会系で真剣にサッカーをしたいと言っても、同じく受け入れていたと言います。ここで両親が決めたことが達成されました。
それは「黙って、そっとしておくこと」です。
両親はA君の姿を見て、それを決めました。A君の頭の中には、サッカーを競技として続けていくのか、それとも趣味のひとつとして付き合っていくのかの二択がありました。親としてアドバイスできたかもしれませんが、最終的には息子自信が決断しなければなりません。アドバイスを求めてこない限り、一生懸命考えさせることにしたのです。
夏休みからA君は予備校に通うになりました。部活は退部して、時々、中学校の同級生と一緒にサッカーをしてリフレッシュしています。
子どもの挫折に親が気づいたら、まずは見守ることが大切
挫折をきっかけに自分なりによく考えて、納得のいく答えを自分で決めることができたA君。進路について聞いた両親は、A君の決断を受け入れました。
ここで、大切なことがあります。「A君が自分で考えた結果」という事です。両親もA君が高校入学後、努力しても下部チームからトップチームに上がることができないという、厳しい現実に気づいていました。浮かない表情の毎日が続いていることも、挫折を感じているのがその原因だという事も、もちろん理解していました。決して無視していたわけでも、気づいていなかった訳でもなく、理解していたからこそそっと見守り、思いやりの配慮をしたのです。
- 失敗してほしくない
- 傷ついてほしくない
- 悲しい思いをさせたくない
- 親だから何とかしてあげなくては
子どもが心配なあまり、つい子どものことに口を挟みたくなるのが親です。しかし、子どもの人生は、子ども自身が生きていくもの。親はどんなに心配でも、子どもが自分の力で乗り越えていけると信じて、見守ってあげることが大切です。
A君の両親が仮に、「トップチームに上がるのは難しいから、勉強に専念したほうがいい」
と一方的にアドバイスをしていたらどうだったでしょう。一生懸命考えている途中のA君にとってそれは「雑音」にしかならず、ストレスとなる場合があります。なぜならA君の頭にはすでにその選択肢もあり、それらの中からベストなものを選ぼうとしているのですから。
これがもし、まったく何も考えられない状態だったら、まずはアドバイスをするのではなく、子どもからいろいろと話を聞くことからはじめることをおすすめします。何も考えられない状態は、裏を返せば頭にたくさん考えていることが詰まっていて、上手く整理できていないことが多いからです。理路整然と話してもらう必要はないので、思っていることや感じていることを受け止めるように聞いてあげましょう。
子どもが自我を持ち始めたら、段々と決断をすることが多くなってきます。はじめはサポートのつもりで手を差し伸べていたつもりが、反対に子どもが考えるきっかけを潰してしまっている、なんてことにならないように気をつけましょう。
「木に立って見る」と書いて親という漢字になるように、できる限り手出し口出しはせず、子ども本人が判断できるように見守ってあげましょう。
子どもがつらい局面にあっても、優しく見守り、子どもがヘルプを出してきた時には全力で応援し、味方になってあげられる。そんな親でありたいですね。
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