サッカーを理解させる指導
ジュニア期のサッカーは、皆がボールに集中する「だんごサッカー」になりやすくなります。
指導者は選手にサッカーにはポジションがあり、それぞれの選手が幅と奥行を意識するのが大切だと浸透させていくことで、組織的なものへと変わっていきます。
ただ、なかなかこの「幅」と「奥行」の意識を選手に植え付けるのは簡単ではありません。
幅と奥行の変化によって何がどのように変化するかを示す
この二つを選手に伝える時、簡単ですぐに思いつくフレーズはこんなものではないでしょうか。
- 幅=「もっと開け!」「広く使って!」
- 奥行=「縦に走って!」「下がって!」
どれも幅と奥行のプレーを再現するために効果的です。選手は指導者のこの声によって、一時的に組織的なサッカーが演出できるでしょう。
しかし、選手にとってはただ動いただけです。おそらく、次回から選手たちだけで同じようなプレーは意図的にできないでしょう。
ここで言いたいのは、指導者がこういった直接的にプレーの決定を伝えては良くない、ということではありません。
なぜなら、もし選手が幅と奥行ってなんなのかを理解していれば、先程の声は指示からヒントになるからです。
では今一度、幅と奥行とは何かを簡単におさらいしてみましょう。
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幅と奥行はグループ・チームを線で結んだ「面」の広さを決定する要素
小難しい見出しですが、内容はいたってシンプルです。
下の図を見て下さい。

青チームは攻撃のフェーズです。比較しやすいように極端なポジショニングにしてるので「間延びしてるじゃん!」というツッコミは置いといてください。
さて、AとBのチームはそれぞれこの距離間でパスを回せる、として質問です。
「DFにとってどちらのチームが守りづらいか」
この質問に対して、様々な意見があると思いますが、簡単な味方として選手同士を線で結んで面を表してみましょう。

いかがでしょう。黄色の面の中でDFが守備を行うとしたら、どちらがやりにくいでしょうか。
多くの人がAを選ぶと思います。これが、試合で選手に「ピッチを広く使え」という理由の一つです。
広いほうがDFは守る面積が広くなり大変になるからです。
原理はすごく単純ですが、このように図にしてあらためて見ると、ビジュアル的に頭の中でイメージしやすくなるはずです。
チーム全体を俯瞰した守備組織
今度は守備の場合について考えてみましょう。
こちらも「絞れ」とか言われますが、攻撃と同じようにチーム全体を俯瞰してみましょう。

青のポジショニングは攻撃と同じです。ここに攻撃の赤チームをできるだけ同じポジショニングで置きました。
守備の場合、守るエリアを定めないと話ができないので、赤い円で囲まれた場所をそれにしましょう。
Aの円には青3、赤4。Bには青4、赤4です。静止画ですのでこれは刹那的な状態ですが、この後どのようななるか青チーム側になって考えてみます。
Aで例えば赤のFWにボールが入った時、その他の赤の選手はパスラインが作りやすいでしょうか。また、青DFとMFのライン間でビルドアップしやすいでしょうか。
予想としては、ボールを受けたFWにCBがビッタリとマークにいっても、FWは落として動き直したり、追い越してくる二列目の選手のためにボールをそらすことでボールを突破させやすいといえます。
一方Bでは青選手同士の距離がAより短いため(守備の面積が狭いため)、Aと同じくFWにボールが入ってもボールの突破は難しく、ビルドアップをするかボールを下げるなどして、ポゼッションを優先しそうです。
この幅と奥行で起こる現象は、ジュニアの8人制でも同じように起こります。
このように、幅と奥行を説明するには簡略にしても、なかなかボリュームがある内容です。裏を返せば、選手が理解するにも時間と繰り返しのトレーニングが必要だということです。
質の良い睡眠で体をしっかり休めよう↓
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