冷夏だからこそ気をつけたい、夏のスポーツ活動で確認すべき「WBGT」

ピーカンな夏はどこへ。令和になってはじめての夏、豪雨や日照不足などにより、夏本番の雰囲気はまだ感じられない。今年は冷夏となりそうな日本だが、スポーツの現場において、指導者や保護者は変わらず選手の体調管理に目を配りたい。

今夏は夏空が少なくなると言われている。人間どうしても、日が当たると暑く、曇っていると涼しい、と簡単に感じてしまいがちだが、実際はそう単純ではない。この夏、スポーツ活動中に熱中症で事故が起こらないように、今一度、WBGTについて学んでいこう。

気温確認だけでは不十分。人体の熱収支に関係する3つの指数を取り入れた暑さ指数を学ぶ

さきほどからあげているWBGTとは湿球黒球温度(Wet Bulb Globe Temperature)のことだ。熱中症の予防を目的として1954年にアメリカで提案された指標。単位は気温と同じ摂氏度だが、その値は気温とは異なる。

WBGTは、人体と外気との熱のやりとりである熱収支に着目した指標で以下の3つの指数を取り入れている。

1,湿度
2,周辺の熱環境(日射・輻射など)
3,気温

湿球温度計、乾球温度計、黒球温度計を使って計ったWBGTは、この3つの指数「湿度:周辺の熱環境:気温」を「7:2:1」の割合から計算される。湿度の割合が大きいのは、身体から空気へ熱を放出する際、湿度が高いと汗の蒸発がしにくくなり熱中症のリスクが高まるので、中でも重要な指数となっているから。

そのため、気温が同じでもWBGTでは異なる場合あるので、「今日は気温が◯◯度だから大丈夫」と、気温だけで状況を判断してはいけない。以下に(公財)日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2019)より抜粋した、運動に関する指針をあげる。

たとえば、気温が30度でも、WBGT指数が31度以上の場合、すぐに活動を中止する必要がある。締め切った体育館などで、多数の選手が活動している環境を想像すれば、気温とWBGTにここまでのギャップが生まれる可能性は大いにある。

指導者は感覚でスポーツ活動を決定せず、WBGTを計れる黒球式熱中症指数計などで客観的な数値をもとに判断したい。また、午前から午後にかけて活動する場合は、気温などの数値が変化しやすいので、活動中に再度計測することも大切だ。

さらに、スポーツ活動中、選手が体調不良を起こした場合は、医師や保護者に経緯を説明することになる。そこでは、どのような環境で何をしていたかが重要だが、その環境を表すひとつの数値としてWBGTが役に立つ。昨今では、選手に大事があったときに、訴訟問題が起こる可能性もある。そんなとき「私が(主観的に)できる環境だと思ったのでやらせました」では、通じない。WBGTでエビデンスを取ることは選手だけでなく、指導者を守るためでもあるのだ。

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