サッカーにおける自主性
教育現場でよく学習目標に掲げられる「自ら考える力」
サッカーではとりわけ、自主性がそのままプレーとして表現されます。そのため、指導者が選手に「考えろ!」と伝えるシーンはよく見かけるものです。しかし、言われた選手が考えられる力を持っているのか、指導者は把握しているのでしょうか?
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自由や自主性の基本となる「型」を教えよう

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この違いが出てくる理由としては、基本となる「型」をしっかりと身に着けさせるからです。ポゼッションに高い意識を持つチームであれば、パスやコントロールの質を高めるためのトレーニングやメソッドを選手に植え付けようとするでしょう。そして具体的に「ボールが来た方向と反対の足でコントロールをする」「中盤でパスを出す場合、相手選手との距離が十分にとれている味方選手を選択する」など、メソッドを型にはめていきます。
こう説明すると「選手が自由にプレーできないのでは?」と懸念を抱く人もいるでしょう。型にはめると、ロボットのように選手全員が同じようなプレーしかできなくなるのではないか、と。しかし、選手が自由にプレーをするためにはアイデアが必要であり、何かが備わっていなければ作り出すことはできません。考える力となる「引き出し」が必要となり、それが「型」なのです。
指導者が選手に「もっと見ろ」と伝えたときも同じです。普段のトレーニングで、「サッカーの見る」ことは何かを教えていなければ、選手が受け取る指導者の声は単語でしかなく、理解できない言葉は時に、プレッシャーにもなる可能性もあります。そうならないために、指導者は型を作り、指導する必要があるのです。
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「サッカーを理解した選手」にするためにジュニア世代でも、フリーズコーチングは大切な指導テクニック!

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ジュニア世代では「サッカーの楽しさを伝えること」が、選手の最大の目的であるため、指導者の中にはシンクロコーチングが主体となっていたり、またはフリーズコーチングをまったくしないという場合もあるでしょう。しかし、サッカーの楽しさには主体的なものと受動的なものがあります。主体的な楽しさとは、どのようにプレーをすれば楽しいか(上手くパフォーマンスができるか)を理解していることです。サッカーは集団スポーツであり、ゴールをするためにチームでボールを前線に運ぶこと、そのためにクリエイティブなプレーをすることが楽しさの根源です。対する受動的な楽しさとは偶発的な出来事から起こることです。これは指導者の声や他人のプレーなどに影響を受けて楽しさが生まれます。
幼児や小学校低学年であれば指導者や保護者が楽しませる環境を用意することは大切です。指導者が大げさなジェスチャーや声のトーンを変えて接するのもこのためです。フリーズコーチングもそこまで行う必要もないでしょう。しかし、チームでフリーズコーチングをまったく行わない指導方針である場合、一度見つめ直す必要があります。
それを見極めるシンプルな判断基準として、小学校高学年のチームでボールに全員が寄ってしまう、いわゆる「団子サッカー」の現象が出ている場合です。「ボールに触ればなにか楽しいことが起こる」「ドリブルで相手を抜き去ると楽しい」……、その時にたまたまあったシチュエーションに身を任せて、選手は楽しくなるだろうと思うプレーを、目的なくはじめてしまうのです。
選手が狙いを持ってサッカーを理解して楽しむためには、日々のトレーニングで型を教える必要があります。「シンプルにわかりやすく、そして短く」をモットーに、1回のトレーニングで教えるコンセプトは1つで十分です。選手たちとコミュニケーションを取りながら行っていきましょう。
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主体性の楽しさを身に着けた選手は思春期になると指導者に不満を表す

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そんな時は、頭ごなしにトレーニングをさせるのではなく、「どうした?」と言葉を投げかけましょう。選手ははじめ「なんでもないです」と返答してくるでしょう。しかし、この何気ないコミュニケーションが大切で、選手は「自分の違和感をわかってくれている」と安心感を持ち、違和感を持つことが悪いことではないと認識します。
型にハマり、サッカーを楽しむための土台ができてきた選手は、いよいよ自主性が芽生え始めます。ここからはトライ&エラーの繰り返しです。自分が考えたプレーをトライし、エラーが出た場合は基本となる型に戻りそのギャップを検証します。こうしたサイクルを繰り返すことで、選手は何歳になってもサッカーが楽しくプレーできるようになるのです。
質の良い睡眠で体をしっかり休めよう↓
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